これまで弊社Jelper Clubが公開してきた記事の中で、就労先としての「日本」は無限のポテンシャルを持っており、世界トップ学生を惹きつけるだけの素地があることについてはかねてから言及してきた。そうした中で、アメリカのHR企業"Handshake"が先日公開した記事"Gen Z hiring trends for 2025"*1において実施した調査や、昨年公開した"What is the Class of 2024 looking for in a job?"において実施した調査を見ていくと、日本が持つ就労先としての魅力がいかにUSの大学生のニーズにマッチしているかが良く分かる。すなわち、日系企業も外資系企業も、日本にオフィスを設立すればアメリカの大学に通う優秀なグローバル人材、それも猛烈な競争を潜り抜けてきたアジア系の優秀なグローバル学生を採用していくことが十分に可能であるというのが筆者の意見である。
本記事では、先述した2つの調査結果を考察しながら、筆者自身の主張の背景を述べていきたい。
アメリカの大学生が就職先を選ぶうえで重視する点Top3は、Job Stability(雇用の安定性)、場所、雇用主の評価
Handshakeが、アメリカ国内の2024年卒の大学生向けに調査した内容によると、"Which of those factors make you more likely to apply to a job" (志望度を左右する重要な点はどれか?)という設問に対する回答は以下の通りとなった。
図1:志望度を左右する重要な点はどれか?
第1位が雇用の安定性、第2位が勤務地、第3位が雇用主の評価という形になった。意外だとは思うが、アメリカの学生も「雇用の安定性」を非常に重要視するのである。よく日本で話されるような、「アメリカの人はリストラに慣れている」といったことはなく、大部分はリストラを怖がっている。こうした観点から、特に高い雇用の安定性を提供している日本の企業は本来魅力的に映るはずである。
そして第2位が勤務地である。この「勤務地」について、具体的にどういった点に言及しているのかについてもHandshakeがリサーチしており、それが以下のグラフである。
図2:以下の各項目と勤務地が近いことが、あなたにとってどれくらい重要か?
上記を見ると分かる通り、家族と近いということが一番重要視されており、次に地元および友達といった形になっている。特にアメリカの大学で学ぶアジア系正規留学生にとって日本はアメリカよりも家族に近いため、そうした面で選好されやすい可能性が高い。なお家族や地元に近いという理由から日本で働きたいというようなJelper Clubの会員学生には筆者自身も複数遭遇しており、そうした背景からも当仮説については一定程度確度が高いと考えられる。
また当記事では、「そもそも自分の生活費を賄えるような仕事に就ける確率は低いことから、自分1人では生活できないため、最初は家族と共に暮らすことが必要‥(略)」といったコメントも入っている。よって家族で暮らしたいという点については、心理的な面のみならず、実利的な面もあるという背景が存在すると考えられる。なお当トレンドは実数値としても表面化しており、"Gen Z hiring trends for 2025" における調査では、就業場所検索ボリュームにおいて、生活費が高いカリフォルニア州の各主要都市(サンディエゴやサンフランシスコ、サンノゼなど)の検索ボリュームが下がっている一方、ヒューストンやアトランタ、シャーロットなどのアメリカ国内では比較的生活費が安い都市の検索ボリュームが上がっている。言い換えれば、アメリカ国内の学生には生活費という観点も意識されており、そうした点からも生活費が相対的に安い日本は就労先として選ばれるポテンシャルが一定程度存在する。
こうした上記2つの背景は、日本のオフィスを持つ企業がいかにUS国内の大学生の就職トレンドと合致しているかを示しており、各企業の日本オフィスが世界中の優秀なグローバル人材に対して魅力に映ることの根拠となり得る。ではなぜ日本にオフィスを持つ企業が世界のグローバル人材を採用できていないのか。この疑問を解くカギが図1の第3位「雇用主の評価」に隠されている。
日本企業の採用競争力強化のカギとなる要素 - 雇用主の評価
当記事における「雇用主の評価」の定義はその名の通り、"雇用主として" 高い評価を持っているか、ということである。なお当項目を選択した学生の94%は、「企業とのポジティブな経験があったことが将来へのアプライに繋がる」としており、75%の学生は「アプライ前に該当企業のレビューを確認」し、73%が「企業側が提供するコンテンツを見た後、よりアプライするようになる」と回答している。
すなわち、雇用主の評価は、そうしたインターネット上における間接的な体験および該当企業との間での直接的な経験によって構築されることが分かる。また当記事では、「定期的に"Day in the life"動画を見て、企業カルチャーやワークライフバランスがどうなっているかを確認している…(略)」といったような学生のコメントが付されていることから、学生による雇用主の評価に関する情報入手経路が、そうしたビジュアルコンテンツによって形成されていることも分かる。
では現状、日本の企業はそうした点を加味したアプローチを世界のトップタレントに対して行うことができているか。答えはNoである。特に未だ世界トップ学生との接点を持てるようなサービスが日本には少なく、上記のような学生の情報入手チャネルへの露出もできていないことから、中々雇用主の評価を高めるような施策を日本の企業は組み込みにくいという現状もあり、中々当アプローチがうまくできていない。しかし逆に言えば、当アプローチを行えば世界中の優秀なグローバル人材に対して訴求することが可能となる、ということである。
なので筆者は、日本での就労に関心のある世界トップのグローバル人材と日本の企業を対象とした採用プラットフォーム「ジェルパークラブ」を運営している。当プラットフォームは単純な求人情報媒体ではなく、会社プロフィール上で自社の事業に関する記載や動画、記事の掲載、イベント投稿なども可能となっており、そうした世界トップのグローバル人材の情報入手経路に対してうまくアプローチできるような機能を兼ね備えている。
弊社では当プラットフォームの運営のみならず、世界トップのグローバル人材採用に関する無料相談も受け付けているため、当採用に関心のある方は、お気軽に無料相談セッションに申し込んでほしい。
出典
1. "Gen Z hiring trends for 2025" (Handshake): https://joinhandshake.com/network-trends/gen-z-hiring-trends/
2. "What is the Class of 2024 looking for in a job?" (Handshake): https://joinhandshake.com/network-trends/class-of-2024-graduation/#2-1
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