グローバル化が止まらない現代社会では、国際的なビジネスシーンをリードできる「グローバル人材」の存在がますます重要視されています。その中でも特に、学生のうちから多様な文化・価値観に触れ、柔軟な対応力や思考力を身につけている新卒グローバル人材は、企業の未来を担う大きな可能性を秘めた存在です。
本記事では、新卒のグローバル人材について、定義や必要とされるスキル、採用・育成のポイントまでをわかりやすく解説します。新卒のグローバル人材を活用し、世界を舞台に活躍する組織を作り上げるヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。
1. グローバル人材について
1-1. 定義
「グローバル人材」とは、単に外国語が堪能なだけではなく、国際的なビジネスシーンで活躍できる総合的な能力やスキルを備えた人材を指します。文部科学省は、グローバル人材に求められる要素として以下の3つを挙げています*1。
語学・コミュニケーション能力
主体性・積極性・チャレンジ精神・協調性・柔軟性・責任感・使命感
異文化への理解と、日本人としてのアイデンティティ
また東京都中小企業振興公社によれば、グローバル人材は日本人のみならず外国人も含むとしており、その場合の3の「日本人としてのアイデンティティ」は「日本への理解」もしくは「現地人としてのアイデンティティ」と置き換えるべきとしています*2。
こうした素養を備え、将来グローバルに活躍する可能性を持つ新卒学生が「新卒のグローバル人材」といえるでしょう。たとえば以下のような方々が該当します。
海外留学経験者：留学で培った語学力や適応力を活かせる
多文化に関心を持つ人材：異文化に積極的に触れ、相手のバックグラウンドを理解しようとする姿勢を持っている
高いコミュニケーション能力を持つ人材：多様なバックグラウンドを持つ相手と円滑に意思疎通を図れる
1-2. グローバル人材に必要なスキル・能力
グローバル人材にはさまざまなスキルが求められますが、特に重要なものをピックアップして以下に記載いたします。
語学力：ビジネスで使える実践的な英語力（ほかの言語も含む）が必須。正確に情報を伝達し、折衝・交渉できるレベル。
コミュニケーション能力：相手の文化や考え方を尊重しながら、自分の主張を論理的かつ的確に伝える力。相手のバックグラウンドも鑑みながら、内容や話し方を変化させられるとなお良い。
主体性：指示を待つよりも自分から課題を見つけ、積極的に行動する姿勢。周囲を巻き込んで業務を進められると理想的。
積極性：変化の激しいグローバル環境の中で、新しい情報や知識を貪欲に吸収しチャレンジする意欲。
異文化理解：文化の違いによる衝突を回避し、多様な背景を持つメンバーと協力するための感受性が重要。
問題解決能力：予期せぬトラブルや複雑な課題にも冷静に対応し、論理的に解決策を見出す力。
リーダーシップ：チームを牽引し、目標達成に向けてみんなを巻き込みながら結果を出す力。
1-3. グローバル人材の種類
グローバル人材は、その強みや特性によって大きく3つのタイプに分けられます。
タイプ | 特徴 | 強み | 必要とされる能力 |
語学堪能型 | 高い語学力を有する | 海外とのやり取り・交渉がスムーズ | ・語学力 ・異文化理解 ・コミュニケーション能力 |
専門知識型 | 特定分野の専門知識やスキルを持つ | グローバルプロジェクトで専門性を発揮し活躍できる | ・専門知識 ・異文化適応力 ・コミュニケーション能力 |
リーダーシップ型 | チームを率いるリーダーシップを持つ | 多様なメンバーをまとめ、プロジェクトを成功に導く推進力 | ・リーダーシップ ・異文化理解 ・コミュニケーション能力 ・戦略的思考力 |
2. 新卒グローバル人材を採用するメリット
企業が新卒のグローバル人材を採用すると、次のようなメリットが期待できます。
海外展開の促進：現地の文化・ビジネス習慣を理解している人材は、海外市場での事業をスムーズに進めるうえで不可欠です。たとえば海外企業や顧客との交渉、現地法人との連携など、幅広く活躍が見込めます。
多様性の促進：異なる背景をもつ人材が増えるほど、新しい視点やアイデアが生まれ、イノベーションが起きやすくなります7。結果として、企業に新たなビジネスチャンスがもたらされる可能性が高まります。
組織の活性化：グローバル人材の高いコミュニケーション能力や異文化への理解は、多様性を持った組織のチームワークを向上させ、生産性アップにも貢献します。
企業イメージの向上：多様性を重視し、国際的な視点をもつ企業として認知されることで、より優秀な人材を集めやすくなります。特にグローバル志向の高い優秀な学生は、こうしたグローバルな環境で働けることを重視する傾向にあるため、そうした学生を採用する上で、当ポイントは非常に重要となります。
将来のリーダー育成：若いうちからグローバル視点を身につけた人材は、将来の経営幹部候補になり得ます。海外事業を引っ張るリーダーを早期に育成できる点は大きなアドバンテージです。
柔軟性と適応力の向上：変化に強いという特性は、企業がこれから直面する不確実なビジネス環境にも対応するうえで大きな武器になります。
労働コストの抑制：中途でグローバル人材を採用する場合、給与が高騰する傾向にあります。特に就労経験が豊富な人材は、その経験によっては他国での就労ビザが新卒よりも出やすく、世界中で引き合いがあるためです。しかし新卒で採用する場合は、特に海外の大学で学ぶ日本人/外国人留学生は現地での就労ビザが近年出にくいため*3、選択肢が限られます。そのため、相対的に人材の採用競争率が低くなり、労働コストを抑えることが可能となります。
3. 新卒グローバル人材を採用するデメリット
一方、デメリットも考慮しておく必要があります。
採用コストが高い：外国人のグローバル人材を採用する場合、ビザ手続きや海外渡航費、語学教育のサポートなど、日本人学生よりもトータルでコストがかかる場合があります。
育成コストがかかる：新卒は実務経験が少ないため、研修やOJTを通じたスキルアップが必須となります。その分の時間とコストが必要になります。 一方で、海外の大学で学ぶ学生については、特にトップ大学であればあるほど実務経験を積んでおり、即戦力となり得る新卒人材が多いため、育成コストが抑えられる傾向にあります。
早期離職リスク：海外では転職が一般的なキャリアパスの場合もあり、短い期間で離職してしまう可能性があります。優秀な人材をつなぎとめるための施策が重要です。
文化摩擦の可能性：異なる文化やコミュニケーションスタイルが衝突してトラブルにつながるリスクもあります。そのためにお互いを理解するための取り組みが必須です。
4. 新卒グローバル人材が必要とされる背景
グローバル人材が必要とされる背景には、主に以下のような社会的変化があります。
グローバル化の進展：ボーダレスな経済環境で海外企業との取引や競争が避けられない時代へと突入しています。インターネットの普及も後押しし、海外市場を視野に入れるのはもはや当たり前になりました。
日本国内での若手の減少：優秀な人材確保のために海外に活路を見出す企業が増えています。特に少子高齢化の影響により、日本国内の若手最優秀層が打撃を受けることが予想されており、もはや優秀な若手を採用する上で海外の人材（＝新卒グローバル人材）を採用していくことは今後必要不可欠となっていくでしょう。
日本経済の停滞：少子高齢化の影響によって国内市場が縮小するなか、海外に活路を求める企業は多く、グローバルで活躍できる人材の需要はますます高まっています。
技術革新の加速：AIやIoTなどの新技術が次々と生まれ、ビジネスモデルも大きく変化。国境を越えた競争に勝ち抜くには、柔軟かつグローバルな視点が必須です。
ダイバーシティの重要性：価値観や文化の多様性がイノベーションの源泉になると認識され、多様な人材が活躍できる環境づくりが求められています。
5. 新卒グローバル人材の採用を成功させるには
効果的に新卒グローバル人材を採用し、活躍してもらうためには、次のポイントを押さえましょう。
求める人物像を明確にする：どんなスキル・経験・志向を持つ人材が欲しいのかをはっきりさせることで、採用活動全体の方向性が定まりやすくなります。
効果的な募集方法：グローバル人材向け求人サイトや就職イベント、留学生との直接接点を作るなど、多角的にアプローチしましょう。
適切な選考プロセス：語学力だけに注目せず、技術面などのハードスキルや、コミュニケーション能力やリーダーシップ、異文化理解力などのソフトスキルを多面的に評価します。
魅力的な待遇・キャリアパス：海外勤務やグローバルプロジェクトへの参加など、キャリアアップにつながる機会をしっかり用意することが大切です。
企業の魅力を効果的にアピール：グローバルに活躍できる環境や企業ビジョン、社内文化などを具体的に伝え、学生の入社意欲を高めましょう。外国人材向けサポート体制やダイバーシティ推進の姿勢もアピールポイントになります。
受け入れやすい環境を整える：外国籍の新卒グローバル人材を採用する場合は、ビザ手続き、住まいの紹介、日本語教育など、そうした人材が安心して働けるサポートを提供することが必須です。
6. 新卒グローバル人材育成施策
採用したグローバル人材が長く活躍できるよう、以下のような育成施策を検討しましょう。
社内研修：ビジネスマナーや異文化理解、コミュニケーション研修を体系的に実施することで、グローバル人材の育成を仕組み化することができます。 また海外研修や派遣を行うことで、実務を通して異文化対応力を高めることもできますが、外国人材を採用すれば、そうした海外への派遣無しにグローバル経験を積ませることができるため、そうした外国人材の採用は、社内全体のグローバル人材化にもつながります。
メンター制度：上司や先輩が業務・キャリア面をサポートし、よりスムーズに組織へ適応できるような支援を行います。
語学学習支援：語学研修や学習費用補助などの制度で、実践的なコミュニケーションスキルを伸ばすことが可能となります。
OJT：実際の業務を任せながら、先輩社員が指導してスキルを育てることで、より実践知を身に着けさせることが可能となります。
多様なキャリアパス：ジョブローテーションや新規事業への参画など、多彩なキャリアの選択肢を用意することで、より経営層目線を身に着けさせることが可能となります。またジョブローテーションは、近年の生成AIの発展の影響により、一つの職に留まることを恐れる優秀な学生を惹きつけることが可能となります。 ※詳しくは「ジョブ型雇用 vs メンバーシップ型雇用 ～なぜ日本における近年のメンバーシップ型雇用は優れているのか～」を参照。
グローバルな職場環境の整備：社内公用語の英語化、多国籍のチーム編成など、日常的に多様性を実感できる取り組みをすることで、社員全員のグローバル意識が高まります。
7. 優秀な新卒グローバル人材を採用するなら「Jelper Club（ジェルパークラブ）」
もし世界トップ大学で学び、日本での就労を目指している世界最高峰の新卒グローバル人材を採用したい場合、「Jelper Club（ジェルパークラブ）」を活用するのも一つの手です。ハーバード大学やスタンフォード大学、ケンブリッジ大学など、世界ランキング上位大学の学生が多数登録しており、専門知識や語学力に優れた即戦力の新卒グローバル人材を採用できるのが特徴です。
既にベンチャー企業から大企業まで、多くの企業が採用に成功しているため、日本では採用できないようなスペックを持った新卒グローバル人材の採用を実現することができます。
特徴
日本での就労を目指す世界トップの学生のみ登録
世界トップ学生に対して“モレなく”アプローチすることが可能
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もしご興味のある方は、是非お気軽にご相談ください（お問い合わせフォームはこちら）
まとめ
グローバル化や少子高齢化が進むなか、企業が成長を続けるためには、新卒のグローバル人材の存在が欠かせません。語学力だけでなく、コミュニケーション能力や異文化理解力、問題解決能力など、総合的なスキルを評価・育成していくことが大切です。さらに、採用後のフォローとしてOJTや海外研修、メンター制度などを整備することで、グローバル人材が長期的に活躍できる環境をつくりましょう。
優秀なグローバル人材との出会いを効率化するために、ぜひ「ジェルパークラブ」などのサービスも活用してみてください。世界を舞台に力を発揮できる人材を取り込み、企業の新しい可能性を切り拓きましょう。
（執筆・編集：Jelper Club 編集チーム）
出典
１. 「グローバル人材の育成について」（文部科学省）：https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/siryo/__icsFiles/afieldfile/2012/02/14/1316067_01.pdf
２. 「グローバル人材育成・活用ハンドブック」（公益財団法人 東京都中小企業振興公社）：https://www.tokyo-kosha.or.jp/TTC/session/ucg1fj0000004sxx-att/Globa_HR_handbook.pdf
３. 「2025年の世界トップ学生 / グローバル人材就職動向予想 - トランプ氏の大統領再選とトップ海外大生採用への影響」（Jelper Club）：https://corporate.jelper.co/post/trump-2025-students-hiring
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